どれだけ化学物質過敏症のことを知っているだろう。
この本を読むまでは柔軟剤やシャンプー、リンスの香りや洗剤の香りなどに身体が反応してしまいアレルギー反応を起こしてしまうってぐらいでした。香りの害、香害(こうがい)がイコール化学物質過敏症ぐらいの理解で自分で気を付けていれば回避できるような気がしていました。
発症しても最悪でも郊外の澄んだ空気に引っ越せば生活できると思っていました。
読んでわかったこと。
甘い。認識が甘すぎる。
「自分が気を付けていれば」なんて思い上がりもいいところ。発症のきっかけは向こうからやって来るし、どこにでも転がっている。いや、漂っている!
化学物質過敏症 発症のきっかけは職場
主人公のユリさんは都心で働く普通の会社員で普通のデスクワークです。きっかけは社内での席替えでした。
隣になった人が喫煙者だっただけ。横で煙草を吸ってるわけじゃないのに。席替えをしてからは喉の調子が悪くなり、周囲の人の口臭スプレーや柔軟剤、ハンドクリームなどなど香りに身体が反応するようになりました。
ついに咳が止まらず息も吸えなくて倒れてしまいました。
エレベーターもダメ。電車もダメ。
症状も咳や息苦しさの他にも、めまい、脱力、パソコンのモニターも眩しくて見れなくなり。
帰宅するとすぐに丹念にシャワーで付着物質を洗い流し、食べ物も有機野菜や無農薬、化学調味料も減らし洗剤もナチュラルなものに切り替え経済的にも負担が大きくなりました。
いっそのこと空気のきれいな郊外に住んでみれば解決するかもしれない!
都会を離れて田舎に行っても化学物質過敏症からは解放されなかった
期待を膨らませてユリさんは里山に行ってみました。ですが、薪ストーブに使う薪にも反応してしまいます。薪は廃材を使っていて防腐剤や薬品処理をしているのです。農薬や除草剤など都心を離れても解決はしませんでした。
ヒノキなどの「木」そのものに反応している可能性もあるのです。
化学物質過敏症を発症すると微量の物質にも反応してしまうし、反応する物質の種類も増えていきます。
ここまできたら悪夢です。誰だって絶望しますよ。
周囲の無理解が辛い。追い詰められる
ユリさんは職場のカーペットの防腐処理にも反応するようになります。他の人はまったく問題がないのにユリさんだけ。だから産業医も上司も気にしすぎ、環境には問題ない、と理解を得ることができませんでした。
ユリさんは会社も解雇になり実家へ帰ることになりました。
もし身近な人が化学物質過敏症になったらと考えると恐ろしい
もし子供が発症したら、と考えたら急に現実味を帯びて怖くなりました。
調べてみるとお子さんが化学物質過敏症になった人がいて読んでるだけで気持ちがギュッと締め付けられます。
『パパもういいよ。卒業式行かへん』色んな人に相談し動きまくる親に気を使ったのか… 娘が呟いた「後悔ないか?」僕のひと言で娘の顔は豹変『行きたいけど行けへんやん!そんな事言わんといて!』娘が化学物質過敏症になって1番ツラい出来事になった。家族で泣きながら誓ったよ。絶対幸せなってやる!
— かつぞー|パパは子供達のHERO🦸♂️ (@KATZtheHERO) 2022年2月20日
卒業式に出たくても香りに満たされた空間だと子供は学校に行けない。学校は病気に理解がない。
やるせない気持ちになります。どうしたらいいんだろう。
自分のできることをやる
子供が小さかった頃は無香料を選んで使っていました。洗剤も石鹸もハンドソープもなるべく香料が入っていないものにしていました。なんか、香りが嫌だったんですよね。スプレーも吸っているようで嫌だったし、今でも美容院の香りは嫌だし。
それが好きな香りが見つかって、少しずつ家の中に色々な香りが増えていきました。昔はあんなに無香料にこだわっていたのに。
化学物質過敏症を発症するのは身近な誰かかも、と考えて身の回りを見直してみます。自分のできることをやっていくぞ(`・ω・´)b
「『ただの空気』が吸えなくなりました。」は学校の図書室に置いてほしい。本を通してみんなに色々な立場の人がいるって知ってほしいと思います。